2019年8月にボルドーで訪れたシャトーでのお話を書きたいと思います。
リヨンで息子をピックアップして、一緒に夏休みを過ごした後、リヨンに戻る道すがら、私の本来の目的地ボルドーへと車を走らせました。
小気味よい森の中をドライブすると、目の前は一面のブドウ畑。行けども、行けどもブドウ畑。
幸いGPSがあるので、迷いませんが、道を聞くにも人っ子一人おらず、ただただブドウ畑が広がっています。これがボルドー郊外なのですね。
のんびりとしたソーテルヌに近い田舎のホテルは、受付の方も穏やかでホッとします。
クーラーがないのは、フランスのホテルではよくあること。
涼しい広々としたお庭のテラスでのディナーになりました。
ちょっとシックなテラスに息子は緊張気味ですが、これもまた経験。
ゆったりとした時間が流れ、翌日はサンテミリオンのワイナリ―に行こうと予定はたてたのですが、テラスでのホテルの朝食が、心地よく、ついリラックスしすぎてしまい、出発したのはお昼ちょっと前になってしまいました。
マズイ。ここはフランス。しかもバカンス真っ最中の8月。このままサンテミリオンに行けば、お店はすべて12時から14時の間、閉まっているはず。と、今頃気が付いたところで、もう遅すぎます。
最近はお昼も開いているお店は増えましたが、夏のバカンスシーズンは時がゆっくりと流れますので、お店が閉まっていても驚かないでくださいね。そうです、それがフランス(笑)。
唯一開いている、観光局へとカンカン照りの石畳の坂を登っていきます。
私たちの訪れた、サンテミリオンは地図の水色の部分で、ボルドー右岸になります。
いつもなら、アプリでシャトーにヴィジット予約を入れるのに、この日に限って観光局に行くというクラシックなやり方をとってしまい、案の定、笑顔の可愛い女性に
「はい、この近辺のワイナリーのリストです、ご自分で電話して予約をとってくださいね!8月なので、どこが今日開いているか、私たちの把握していません!」と明るく言われてしまいました。
ひとつだけ予約の取れたシャトーがあって、ホッとするもつかの間。リストに住所がない。
再度観光局の女性のヘルプを乞うことに。
「この辺りは、ブドウ畑しかないので、アバウトな住所しかないんです。周りはぜーんぶブドウ畑なので。緯度と経度はわかるので、それでナビをあわせられます?」
「やったことがないから、ダメだと思います(汗)」
「では、地図を書きましょう!」と観光局の女性が地図にマークを入れて、「ここで曲がって、ここを真っすぐ...」と教えてくれるものの、とてもじゃないけど覚えきれません。迷うこと必至。
案の定、途中で迷いました。炎天下のブドウ畑。誰もいません。
シャトーに電話をしても誰も出ない.....。
見回すと、古びた車の修理工場が。
「ボンジュール、どなたかいらっしゃいますか?」と、入っていくと、作業中のムッシュが。
残念ながらご存知なく、仕方がないので、当てずっぽうに遠くに見える塔を目指して行ってみることにしようと、発進しかけると、「うちの奥さんがそのシャトーを知っているそうですよー、ちょっと待って下さい!」と、先程のムッシュが声をかけて下さいました。優しい。
再度、奥様の「あの信号まで、真っすぐでその後左で、その後...」という道案内を伺い、「また、迷うかも。」と、道案内を覚えてるうちに早く出発と、ブドウ畑の中を車を走らせました。
かなり適当に進んでいくと、道案内の時に言われていた「目につかないくらい小さい看板」がありました!なんてラッキー。「普通なら、絶対見逃すわ」と思いながら、一面のブドウ畑の中を進んでいくと.....。
Château la Rose Perrièreに到着!
確かに門に住所表示はありません。東京に住んでいる私にはちょっと違う世界。
門をくぐって、車でどんどん奥に入っていくと、花々が咲くお庭に囲まれたシャトーがありました。良く辿り着けたものと自分を褒めてあげたい感じでしたが、約束の時間より大幅に遅刻。
先客が済むまで、テラスからブドウ畑を見学させて頂きます。
こちらのシャトーはHaute Valeur Environnemental (HVE)環境価値重視認証を得ているシャトーで、オーガニックではないですが、レゾネ ( raisonée =reasonable)と呼ばれる、化学的なものを極力使わずにナチュラルな製品を使ってブドウ栽培をされています。
毎日手作業でブドウの世話をするそうで、ブドウたちは短く剪定さて、整然と並んでいます。
上の写真正面がこちらのシャトーのブドウ、左のぼさぼさと茂っているのが、普通に農薬を使っているブドウの樹。
ブドウ畑見学後は樽醸造を見せて頂きました。
こちらのオーナーは、もともと樽製造会社のオーナーということで、こちらでは、贅沢にも北フランス産オークで作った新樽を白ワインにも、赤ワインにも使っています。
贅沢にも、新樽しか使わないとのことなので、数年使った後の樽をどうされるのか伺うと、ウィスキーの醸造に再利用されるそう。
ワインのアロマの染みこんだ樽をウィスキー醸造会社が欲しがるのだそうです。
樽醸造の空間は、なんともいわれぬ甘い芳香が、漂っていました。ワインの芳香が少しずつ樽から漏れ出てくるのだそう。
自然と人が協力して作り上げていくワインは本当に素晴らしいですね。
そして、いよいよティステングです。
ボルドー白。
セパージュはソーヴィニョンブラン、セミヨンとミュスカデルです。
ティステングの時に、フランスではまずnez (鼻)、嗅覚を使ってアロマをとりますが、アロマが勝手にやってくると言ってもいいくらいのアロマティックなワイン。
携帯電話にとったメモによると;
フルーティ、ホワイトネクタリン、ハチミツ、白桃、白い花、
酸味少なめ、タンニン少な目、とてもアロマティックなので、甘い印象を受けるが、口に入れると軽めの辛口。
以下はシャトーのサイトからです。
ブドウの樹の平均年齢は11歳、手摘み、手選別、樽でのアルコール醸造
バトナージュという樽の中の澱をかき混ぜて、ワインに混ぜこむテクニックを使っています。
なんといってもこのワインのアロマは素晴らしい。
このほか赤を2本ティスティングさせて頂きましたが、一番印象に残ったのはこの白の芳香でした!
chambre d’hôteという高級民宿もされているので、泊まってゆっくりサンテミリオン界隈を訪ねるのも素敵だと思います。
お花に囲まれた穏やかで、素敵なシャトーでした。 再訪問したいと思います。
0コメント